研究概要 |
流雪溝屈曲部の流れに注目して,実施設の実態を調査し,また,削氷を用いた室内模型実験から屈曲部の水位上昇,流れの閉塞限界等に関する研究を実施したが,今年度得られた主な成果を要約すると次のようである。 1.福島県会津地方の流雪溝施設の特徴および問題点に関する調査結果 福島県の流雪溝は1987〜1988年に使用開始の路線数,布設延長が急増し,1990年以降はほぼ一定の割合で整備が進められていることがわかった。断面急変部1か所当りの布設延長は各年ほぼ200〜300mであるが,年と共に若干短くなってきている傾向が認められた。水路幅は青森県等と比べると広いものが多いことがわかった。高齢化・過疎化に伴い除雪機による投雪の増加が見受けられ,雪水混相流としての取扱いの必要性が再認識された。 2.流雪溝屈曲部における水位上昇(流雪溝からの越水の問題)に関する検討 流れが速くなると屈曲部において急激に水位が上昇する。屈曲部に対して運動量方程式を適用して得られた水位上昇高さを表す式は,90度,45度の屈曲部における実験結果をかなり良く表現することが示された。これより,90度の屈曲部では,上流側のフルード数が1.5倍程度になると屈曲部の水位が上流側水位の約2.4倍にも上昇することがわかり,流雪溝の設計における水路の深さの決定に対して有用な指針を与えるものと考えられる。 3.流雪溝屈曲部における閉塞限界に関する検討 90度および45度の屈曲部における閉塞の有無を,流量と削氷投入重量との比と水理量との関係で示した。フルード数が,90度では約0.6以下,45度では約0.3以下の流れにおける閉塞限界がほぼ推定出来た。閉塞限界には投入削氷の密度が大きく関係することが確認され,密度を系統的に変化させた研究を継続して実施している。
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