研究概要 |
マウスのリンパ腫由来L5178Y細胞株から分離されたUV,MMS,EMS(2株),MMSと放射線両者に対する高感受性株、計5株の放射線、およびアルキル化剤に対する高感受性の原因が修復酵素の欠損よるかも知れないと考え、3-メチルアデニンDNAグリコシラーゼ(APDG)活性を測定し親株と比較した。親株に比べUV高感受性株でAPDG活性はわずかに低く、MMSと放射線の両者に高感受性を示すM10株で約20%と有意に低いことを見いだした。3-メチルアデニンおよび7-メチルグアニンの遊離比はどの株から得た抽出液も等しく、M10株では親株と同一酵素の活性が低下していると考えられた。マウスAPDGのc-DNA配列をもとに、ラットc-DNAを分離したところ発表された配列には誤りがあると見られることがわかった。5'-端は我々が得たものの方が長かった。APDG遺伝子の発現をL5178Y株とM10株でこのc-DNAをプローブとしてノーザンブロット法で調べた所、M10株では著しく低かった。M10株に於けるアプリニックエンドヌクレアーゼ、グリセロアルデヒド脱水素酵素のm-RNA量は親株と変わらなかった。またAPDGm-RNAのサイズは同一であることから、M10株の酵素活性が低い原因はAPDG遺伝子の転写レベルが特異的に低いためと見られることがわかった。
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