研究概要 |
本研究では、汚濁湖沼水(SS15mg/l、COD8mg/l)を用いた生物活性炭流動床のパイロットプラント実験による処理効率と操作条件、生物膜の付着と剥離状況、各種微生物の定着状況等について検討を行った。供試した流動床担体は粒状活性炭(クレハ活性炭)であり、滞留時間は30分〜2時間に設定した。2年間の実験結果より、以下の成果が得られた。 滞留時間の増大に伴って処理効率が上昇し、最適滞留時間は1時間であることが認められた。有機物(TOC、DOC)、アンモニア性窒素、SSおよび藻類の除去率はそれぞれ、40%以上、55%以上、50%以上となっていることがわかった。処理時間の経過とともに除去率はやや低下したが、生物膜の増加によって安定した処理効率が維持された。また、定期的な逆洗が処理効率の向上にきわめて有効であることがわかった。逆洗は空気と水を用いて、2週間に1度の頻度が適当である。 流動床では、鞭毛虫類10種、繊毛虫類17種、肉質虫類17種、微小後生動物(輪虫類、貧毛類、線虫類)8種の出現が観察された。優占種は、Monas,Vorticella,Epistylis,Stentor,Philodina等であり、最高で1ml中500個体計数された。これらの微生物は、細菌や藻類を生物膜内で捕食して浄化を担うことが推察された。線虫類は障害生物になるが、これを制御する手法を見出すことはできなかった。 Pseudomonas、Alcaligenes,Acinetobactor等の細菌が流動床において観察され、その個体数は1ml中10^7〜10^8個体となることが認められた。 以上のことから、本パイロットプラントの処理水は、水道原水として十分に利用できることが実証された。
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