研究概要 |
キサンチン酸化酵素とキサンチン還元酵素とは同一遺伝子由来の複合金属フラビン蛋白質である。本酵素は哺乳動物においては本来還元酵素として存在しているが、精製中に酸化酵素に変換する。本酵素は同一サブユニットよりなる二量体であり、尿素生成の最終2段階に働くとともに活性酸素種(過酸化水素、スーパーオキシドアニオンなど)生成にも関与する。サブユニットの分子量は約150000Da、各サブユニットには1つのモリブドプテリン、2つの非ヘム鉄および1つのFADが含まれる。酵素反応中これら補欠分子間を電子が伝達される。すなわち分子内に電子伝達機構をもつ特異な酵素である。従って、より複雑なミトコンドリアやミクロソームの電子伝達機構の理解に有益な示唆を提供すると思われる。本研究では、本酵素の反応機構および反応調節機構をより詳細に解析することを目的とした。 本期間内に我々は次の点を検討した。1)酸化型酵素へ変換をしない鶏肝キサンチン還元酵素の構造の解析(FASEB J.9.995-1003,1995;J.Biol.Chem.,270,2818-2826,1995)、2)新しく開発された本酵素阻害剤sodium-8-(3-methoxy-4-phenylsulfinylphenyl)-pyrazolo-[1,5-a]-1,3,5-triazine-4-olate monohydrateによるミルクキサンチン酸化酵素の触媒能にたいする阻害のメカニズムの解析(J.Biol.Chem.,270,7816-7821 1995)、3)硫黄(モリブデン配位子の1つ)供給に関与すると考えられるメルカプトパイルベートスルフトランスフェラーゼの構造およびその反応のメカニズムの解析(J.Biol.Chem.,270,16230-16235,1995;J.Biol.Chem.,271,27395-27401,1996),4)キサンチン酸化酵素野生型および変異型酵素のバキュロバイラス系での発現およびその構造-機能の関係の解析、5)スーパーオキシドデイスムターゼの大腸菌での野生型および変異型酵素の大腸菌での発現およびその構造-機能の関係の解析(Frontiers of reactive oxygen species in biology and mechanism.Elsevier Scientific Publishers.B.V.,Amusterdam,135-136.1994).
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