研究概要 |
BGP(CD66a),CGM6(CD66b),NCA-50(CD66c)等のCEAファミリータンパクの好中球における生理的機能を明らかにすることを目的として、組換えタンパクの調整、細胞接着実験モデルの作製、細胞活性化との関連の解析等を行った. 1.バキュロウイルス/カイコ発現系を用いて組換えタンパクの大量調製を行い、精製されたタンパクの性質を調べ、さらにタンパクに特異的なモノクローナル抗体を作製した.組換えタンパクの産生は、BGPg,NCA-50およびCGM6のcDNAをトランスファーベクターpBK283に組み込み、バキュロウイルスDNAと共にカイコ細胞株BmN4にトランスフェクトと組換えウイルス液を得た.純化した組換えウイルス液をカイコ5令虫に皮下注射して4日後の体液(hemolymph)を採取し、組換えタンパクをCon A affinity、抗NCA抗体affinity、陽イオン交換カラム、ゲルろ過により精製し2-4mgのタンパクを得た.これらの組換タンパクを固相化し細胞接着活性を測定した結果、細胞間の凝集反応により調べられた細胞接着活性とほぼ同じ結果がより定量的に得られた.組換タンパクの糖鎖をのぞいた場合にも、NCA-50とCGM6間の接着は影響を受けず、少なくとも一方の糖鎖は接着に関与していないことが明らかになった.また組換えBGPタンパクでマウスを免役し、BGPとのみ反応するモノクローナル抗体を得た.この系によって産生された組換えCD66タンパクやモノクローナル抗体は好中球のCD66抗原の機能を解析する上で有用であると考えられる. 2.大腸癌由来HT29細胞をクローニングし、極性を有しCEAをapical側にのみ発現する正常大腸粘膜様上皮モデルを作製した. 3.好中球より抗CGM6抗体は分子量55-60Kのリン酸化されたタンパクをCGM6と共に沈降させた、GPI型タンパクのこのタンパクはlyn,lckとは異なるものと考えられた. 4.遺伝子クローニングによりNCA-50は単球系細胞にも発現し、細胞の分化によりその発現は低下することがわかった.
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