研究概要 |
1.ラット肝細胞上清をSephadex G-200,Phenyl-Sepharose,tRNA-Sepharose クロマトによりスレオニン活性化酵素とヒスチヂン活性化酵素を含む複合体を約1,000〜2,000倍に精製した。これら二種類の酵素は夫々単量体同志からなるhybridを形成していることを明らかにした。また、細胞上清中には夫々の酵素の2量体同志のhybridも存在していることも知らされた。さらに、精製分画中に5SRNAとL5蛋白の存在が証明され、L5抗体によりこれらが5SRNA-L5複合体(5SRNP)として存在していることと、精製したスレオニン活性化酵素は5SRNPにより活性が促進されることが明らかにされた。 2.ラット肝の細胞質上清、リボゾーム、核小体、核液より5SRNAを精製し、各5SRNAの5'末端近傍と3'末端近傍の塩基配列を比較したところ同一であり、細胞質上清の5SRNAはリボゾーム5SRNAの前駆体ではなく成熟した5SRNAであることを明らかにした。ラットに^<14>Cオロチン酸を注射した後、各分画5SRNAの比活性の時間的経過を調べたところ、細胞質上清の5SRNAの比活性は3時間までほぼ直線的に増加し、しかも高い値を示し、その後急速に減少した。このことから細胞質上清の5SRNAは特異な代謝を行っており、5SRNAは核内で合成されたのち核液のプールに入ることなく、直ちに細胞質に移行するものであることを明らかにした。
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