研究課題/領域番号 |
05680576
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野口 俊之 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90172775)
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研究分担者 |
郷 通子 名古屋大学, 理学部, 教授 (70037290)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | モジュール / タンパク質進化 / タンパク質高次構造 / タンパク質工学 / リゾチーム / 分子動力学 / エクソン混成 |
研究概要 |
本研究は次の問題を明らかにするために、リゾチームのモジュール構造の力学的性質を計算機実験により解析した。A.タンパク質の部品であるモジュールの立体構造は他のモジュールから切り離されたとき、それ自身で力学的に安定であり得るのだろうか、それとも、不安定なのであろうか?B.モジュールを部品としてタンパク質を組み立てるためには、モジュールの構造に適度な柔らかさが要求されるが、モジュールはどれ程柔軟であるのか? 以下の結果が得られた:0.ニワトリ卵白リゾチームのモジュール構造:X線結晶解析によって得られた原子座標に基づいて、求心性プロファイルにより、10このモジュールが同定された。このリゾチームは、1983年に少なくも5つのモジュールからなることが明らかにされていたが、その時同定されたモジュール境界と今回のものとは一致している。1.モジュールの分子動力学:モジュールごとにX線結晶構造から出発して1ナノ秒の分子動力学計算を行なった。この計算機実験で、10このモジュールのうち7こがX線結晶構造と似た構造を保持した。このことから、問題Aに対する答えとして、モジュールの構造は自分自身内の原子間相互作用によって力学的に安定化されているとの結論を得た。2.分子動力学計算の軌跡を解析し、モジュール構造の柔らかさを調べた。単独モジュールのシミュレーション中の平均構造とタンパク質中での構造との間では、α炭素原子の平均2乗変位の平方(RMSD)は0.3〜0.5nm、平均構造からのRMSDは約0.1nmであった。このことは、モジュールは柔らかい部品であることを意味する。(問題Bの答え)3.リボヌクレーアーゼの一種であるbarnaseについても、同様の計算機実験を行い、同様の結果を得ている。以上の結果は、タンパク質がモジュールの組み合せにより進化してきたという描像、および、モジュールを単位とする新しいタンパク質工学の物理化学的基礎を与えたことになる。
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