研究課題/領域番号 |
05680676
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助教授 (70223237)
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研究分担者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 細胞膜骨格 / カルシウム制御 / アネキシンVI / カルスペクチン / シナプシンI / カルシウム / 燐脂質 |
研究概要 |
本研究では、神経細胞におけるアネキシンVIの機能を明らかにすることを目的としてアネキシンVI結合蛋白質の検索を行い、その同定を試みると共に結合の性質の解析を行った。 このためまずアネキシンVI結合解析法の確立を行い、ラット脳において約14種類の蛋白質と結合することが明らかとなった。アネキシンVIとこれらの蛋白質との結合は、カルシウム依存性で燐脂質の存在が必須であった。燐脂質では、フォスファチジルセリンあるいはフォスファチジン酸に特異的であった。また、アネキシンVIとこれらの結合蛋白質との結合は、直接の蛋白質同志の結合であった。これらの蛋白質のうち分子量80Kの蛋白質がシナプス小胞蛋白質シナプシンI、240Kの蛋白質が細胞膜骨格蛋白質カルスペクチンであることを同定した。シナプシンIとの結合では、アネキシンVIはシナプシンIa,bの両者に結合し、NTCBフラグメントへの結合実験からシナプシンIのN末端頭部に結合することが判明した。アネキシンVIのシナプシンIへの結合は、シナプシンIのcAMPキナーゼ或いはCaMキナーゼIIによる燐酸化により著明に阻害された。シナプシンIは、シナプス前部におけるシナプス小胞のアクチンネットワークへの貯留に重要な役割を果たす。アネキシンVIのシナプシンIへの結合は、そのカルシウム感受性から考えてシナプス小胞のアクチンネットワークへの貯留に関与しているとは考え難く、むしろシナプス前膜直下で細胞膜とシナプス小胞の相互作用に関与している可能性が考えられる。アネキシンVIのカルスペクチンへの結合では、アネキシンVIのカルシウム/燐脂質依存性のカルスペクチンへの結合がカルスペクチンからF-アクチンを解離させることが明かとなった。さらに、カルスペクチンのアネキシンVI結合部位を検討した結果、アネキシンVIはカルスペクチンのbサブユニットのN末端側のアクチン結合部位近傍に結合することが明かとなった。以上の結果は、アネキシンVIがカルシウム/燐脂質依存性にカルスペクチン-アクチン相互作用を調節し、細胞膜骨格を制御している可能性を示唆する。
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