研究課題/領域番号 |
05680688
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80140896)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | イオンチャンネル / インターロイキン-1beta / Ca^<2+> / カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII / カテコールアミン生合成 / カテコールアミン分泌 / 細胞刺激 / 副腎髄質 |
研究概要 |
カテコールアミン生合成や分泌の促進にCa^<2+>イオンが重要であることが知られているが、その詳しい機序については十分には理解されていない。今回著者は、細胞内Ca^<2+>の情報伝達の担い手としてCa^<2+>/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(以下カムキナーゼIIと略)に注目し、ウシ副腎髄質細胞を用いて、1)培養細胞刺激によるカムキナーゼII活性の変動とカテコールアミン生合成・分泌、2)細胞刺激と細胞内情報伝達、3)カムキナーゼIIの分離・精製及びその内在性基質について研究を行った。 その結果、1)に関する研究では【.encircled1.】培養細胞をアセチルコリンで刺激すると細胞内カムキナーゼIIの自己リン酸化が見られ、カムキナーゼIIのCa^<2+>-independent活性がアセチルコリンの濃度及び反応時間依存的に増加した。この時間経過と濃度反応曲線はカテコールアミン分泌及びチロシン水酸化酵素活性の上昇のそれとよく似ていた。2)に関する研究では【.encircled2.】インターロイキン-1beta(IL-1beta)を細胞に作用させるとカテコールアミン分泌が促進した。【.encircled3.】全身麻酔薬イソフルランはニコチン性アセチルコリン受容体-イオンチャンネルや電位依存性Na^+チャンネルを抑制し、その結果Ca^<2+>流入及びカテコールアミン分泌を抑制した。【.encircled4.】C型Na^+利尿ペプチド(CNP)は細胞内cGMPを著明に増加させ、チロシン水酸化酵素やカテコールアミン生合成を促進させた。【.encircled5.】ラット脳グリア細胞においてCNPはその細胞膜に特異的に結合し、細胞内cGMPを増加させた。3)に関する研究ではウシ副腎髄質細胞からカムキナーゼIIを分離・精製し、その性質について検討した。その結果、ラット脳カムキナーゼIIによく似た性質を有し、チロシン水酸化酵素やクロマフィン顆粒膜蛋白をリン酸化した。この酵素の精製途上で70KDaのカルモデュリン結合蛋白を分離した。さらにこの70KDa蛋白はカムキナーゼIIの内在性基質になる事を見い出した(現在Molecular Pharmacologyに投稿中)。 以上により副腎髄質細胞においてカムキナーゼIIの存在を証明し、その内在性基質についても明らかにした。又、細胞が刺激を受けるとカムキナーゼII活性が上昇し、それがカテコールアミン生合成や分泌の促進に関与している可能性を示した。現在、副腎髄質から分離した70KDa蛋白のアミノ酸配列を決めている途中で、カムキナーゼIIのよい基質になることから、この蛋白の生理的役割についても注目して行きたい。(尚、上記【.encircled1.】〜【.encircled5.】は研究発表の雑誌論文に記載した順である。)
|