研究課題/領域番号 |
05680720
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八尾 寛 京都大学, 医学部, 講師 (00144353)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 自律神経節 / シナプス前終末 / ATP / アデノシン受容体 / カルシウムチャネル / 細胞内カルシウム / ω-ユノトキシン / fura-2 |
研究概要 |
1.孵卵14-15日のニワトリ胚を断頭し、動眼神経と毛様体神経節を同定した。蛍光Ca^<2+>指示薬のFura-2を結合したdextran(fura-dextran)を動眼神経の断端に投与することにより、杯状シナプス前終末を選択的に標識した。1個のシナプス前終末から、活動電位各々に応答する細胞内Ca^<2+>濃度の変化が捉えられた。シナプス前終末のCa^<2+>濃度は、静止状態で20-60nM(n=10)、単一活動電位により、10-20nM上昇した。 2.ATPは、興奮性シナプス電流(EPSC)を抑制すると同時に活動電位に伴うシナプス前終末のCa^<2+>上昇を著明に抑制した。これらのATPの作用は、アデノシンA1受容体特異的な阻害薬の8-cyclopentyltheophylline(CPT、1μM)により拮抗された。また、アデノシンにより、EPSCおよびシナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、CPTにより拮抗された。以上により、ATPは速やかにアデノシンに分解され、アデノシンA1受容体を活性化することにより、シナプス前終末のCa^<2+>上昇が抑制され、その結果、伝達物質の放出が抑制されることが分かった。3.杯状シナプスには、ω-コノトキシン感受性と抵抗性の2種類のCa^<2+>チャネルサブタイプが存在している。アデノシンは、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>流入を抑制するのに対し、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>流入を抑制しない。すなわち、ω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルが、アデノシンにより選沢的に修飾されることが示された。アデノシンの作用の大部分がCa^<2+>チャネルの抑制により説明される。 4.アデノシンがω-コノトキシン感受性のCa^<2+>チャネルを特異的に抑制することから、アデノシン受容体とこのCa^<2+>チャネルが近接していることが考えられる。他の可能性として、ω-コノトキシン抵抗性のCa^<2+>チャネルには、A1受容体の情報伝達系と反応するような分子ドメインが存在しないことが考えられる。
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