研究課題/領域番号 |
05680728
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉村 恵 久留米大学, 医学部, 講師 (10140641)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ノルアドレナリン / セロトニン / 痛覚 / 脊髄後角 / 膠様質 / パッチクランプ / 脊髄スライス / スライスパッチ |
研究概要 |
成熟ラット脊髄横断スライスに後根を付した標本を作製し、ブラインドパッチクランプ法を用いてセロトニンおよびノルアドレナリンの後角膠様質細胞に対する作用を調べた。ノルアドレナリン(10〜60muM)は30%の細胞に外向き電流を、30%の細胞に内向き電流を誘起した。40%の細胞においてノルアドレナリンは自発性興奮性微小シナプス電流(mEPSC)の頻度を減少した。この作用はalpha_2受容体作動薬のクロニジンによっても誘起され、またalpha_2受容体拮抗薬で抑制されたことから、alpha_2受容体を介するものと考えられた。次に微小抑制性シナプス電流(mIPSC)に対する作用を調べた。ノルアドレナリンとフェニレフリンはmIPSCの頻度を著明に増大させ、この作用はプラゾシンによって抑制されたことからalpha_1受容体を介するものと考えられた。セロトニンは30%の細胞に外向き電流を、10%の細胞に内向き電流を誘起した。5-HT_1A受容体作動薬である8-OH-DPATはセロトニン同様の外向き電流を発生した。一方、内向き電流は5-HT_2受容体拮抗薬のケタンセリンによって抑制された。約20%の細胞において、セロトニンはmEPSCの頻度を減少させたが、他の20%の細胞においてはmEPSCの頻度を増大させた。mIPSCに対しては著明な変化を示さなかった。 以上の結果より、ノルアドレナリンは膠様質細胞に対して興奮作用、抑制作用の両方を示したが、シナプス前作用ではmEPSCを抑制しmIPSCを増大させたことから痛覚伝達に対し抑制的に働いていることが示唆された。またセロトニンの作用は膠様質細胞に対して興奮性および抑制性の作用を示し、シナプス前にも促進的および抑制的作用を示すなど一定した傾向がみられなかった。おそらく個々の細胞に対し異なる作用を有するものと考えられる。 以上の結果は米国神経科学学会および阪大国際シンポジウムにおいて発表した。
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