研究課題/領域番号 |
05680732
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
山口 和彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (00191221)
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研究分担者 |
赤川 公郎 杏林大学, 医学部, 教授 (80129303)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | HPC-1 / アンチセンスDNA / 脊髄後根神経節細胞 / 単離培養系 / 神経突起末端部 / ホールセル・クランプ法 / シナプトファイシン / 出芽 |
研究概要 |
本研究では神経突起の膜特異的蛋白質であるHPC-1の機能について、アンチセンスDNA等の投与により生合成を抑制した効果を、特に神経伝達物質放出との関連に注目して調べることを目的とした。実験には山口の開発した太い(5-10mum)神経突起末端部を持つラット脊髄後根神経節細胞の単離培養系を用いた。HPC-1に対する抗体を用いた免疫細胞化学的検索の結果、この太い神経突起の全体にわたってHPC-1は強く発現してることが解った。この太い神経突起末端部が軸索末端部と見なせるか検討した。ホールセルクランプ法で突起末端部の電流を記録するとTTX感受性Na細胞が存在していた。また、中枢神経細胞軸索特異的蛋白質であるタウに対する抗体で染めたところ、すべての神経突起が陽性であった。さらに、シナプス顆粒膜の特異的蛋白質シナプトファイシンに対する抗体で染めたところ、特に太い先端部に高密度に存在していることが示された。以上の結果は太い神経突起末端部が軸索末端部と見なせる、ということを示唆している。しかし、中枢神経細胞の樹状突起特異的蛋白質であるMAP2に対する抗体で染めたところ、太い突起の中にも陽性のものが見られた。従って、太い神経突起は軸索的性質が強く発現されているが、未分化な部分も残っていると考えられた。次にHPC-1メッセンジャーRNAに対するアンチセンスDNA(24mer)を単離直後のDRG細胞に与えた。結果は全く予想外で太い突起の再生は全く見られなくなり、無数に分岐した細い突起が網目状に再生した。このことからHPC-1は神経伝達物質の放出機構に関与するのみならず、形態形成にも関与し、軸索膜を安定化させ、分岐形成を抑制しているということが初めて示された。学習等の過程において、HPC-1のdown-regulationにより軸索の出芽が生じ新たなシナプス結合が形成される可能性があり、今後検討して行きたい。
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