第1実験では、自己防衛的自己呈示として主張的セルフ・ハンディキャッピングを取り上げ、呈示者への効果を検討した。独立変数としては、主張的セルフ・ハンディキャッピングの機会の有無と失敗のフィードバックの有無を設け、従属変数として自尊関連感情を測定した。実験計画は、2×2(セルフ・ハンディキャッピングの機会(有/無)×失敗のフィードバック(有/無))被験者間要因計画であった。結果は、セルフ・ハンディキャッピングの機会有群では、無群に比べ、課題関連自尊感情が高く、ポジティブな効果が見いだされた。しかし、失敗のフィードバックが無い場合ではセルフ・ハンディキャッピングの機会有群では、無し群に比べ、対人関連自尊感情が低く、ネガティブな効果が見いだされた。このことから、主張的防衛的自己呈示には、呈示者に対して、ポジティブな効果とネガティブな効果の両方があることが示された。 第2実験では、自己防衛的自己呈示として遅刻場面のいいわけを取り上げ、受け手への効果を検討した。独立変数としては、いいわけのタイプと謝罪の有無と代償的行為の有無を設け、ビデオにより被験者に遅刻場面を呈示した。従属変数として、呈示者への受け手の好意を測定した。実験計画は3×2×2(いいわけのタイプ(事故/忘却/無)×謝罪(有/無)×代償的行為(有/無))の被験者間要因計画であった。結果は、従来の研究で見いだされていたいいわけのタイプによる差(事故>無>忘却)は、謝罪や代償的行為が無い場合にのみ見られた。このことは、主張的防衛的自己呈示が効果を持つのは、言語的に謝罪が行われなかったり、代償的行為を取らなかった場合の限られた状況であることが示された。
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