本研究は、1.自己関連情報の自己無関連判断に、他の物理的次元の判断過程と同じく象徴距離効果が認められるのか、2.自己関連判断過程と比較した場合に意味一致効果が認められるのか、を中心に検討した。 そこで 1.について、被験者は10個の各特性について自分に当てはまる程度を、非常によく当てはまるから全く当てはまらないまでの9段階評定をする。次にそれらの特性語を含む一対のリストを学習する。学習成立後被験者前方の刺激提示装置に呈示された各一対の特性語のうち自分に当てはまらない語を選び、キ-を押す。刺激呈示からキ-を押すまでの反応時間を測定した。その結果、自己関連性評価で各一対の特性語評価値の差が大きい程反応時間が早くなり、差が小さい程反応時間が遅くり、自己関連情報の自己無関連性次元における象徴距離効果が認められた。次に 2.について、自分にあてはまる語を選択させた和田と厳島(1992)の結果と本研究結果をとを比較した。その結果自己無関連判断の方が、正反応、誤反応、Tie反応において反応時間が短かった。しかし自己関連づけ評定値の高い方よりも低い特性語に自己関連判断時間が長く、自己関連づけ評定値の低い方よりも高い特性語に自己無関連判断時間が長いと意味一致効果が認められることになるが、それらは明らかにならなかった。 今後は自己関連づけによる自己関連情報の処理過程の特徴について、自己に関する記憶との関連性において検討していくことが本研究の発展性として有効であると思われる。
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