研究概要 |
カオス理論に基づいた生理心理学的観点から母子コミュニケーション分析法について検討してきた。これは、自律神経系によって調節された指先の血管運動反応を利用した指尖容積脈派が,情動の微妙な変化に対応して瞬時的に変動する精神生理学的指標として生理心理学的観点の分析に非常に有効であることに着目したカオス理論に基づくものである。 測定装置止してCAP(カオスアトラクトグラムプロセッサー/コンピュータコンビニエンス社のシステム)を使用した(現有設備)。本装置は、ヒトの指尖容積脈派のカオスアトラクターを抽出するものである。このカオスアトラクターの構造と機能から、コミュニケーションを量的質的に分析した。対象者は、母親(または保母)と乳児の10組である。測定場面は、予備実験から睡眠時のみとした。母親(または保母)と乳児のスキンシップの有無によって1場面につき5回の測定を行った。これを5週にわたって実施する予定であったが被験者の体調によって必ずしも予定どおり実施することができない被験者もいた。 以上の実験から,スキンシップの有無によってカオスアトラクターが類似-非類似となることが得られた。さらに実の母親と子どもの場合はアトラクターが相似形を示すのに対して,実母児でない場合は互いに独立したアトラクターを示すこともわかった。この研究成果の一部を日本発達心理学会で発表する(平成6年3月27-29日 東北大学)。
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