本研究の課題は、現代日本の青少年に見られる宗教的な関心について、主としてメディア論の観点から分析を加えることであった。この課題の遂行のため、計画では、(1)青少年意識及び宗教関連の資料収集、(2)新宗教・自己啓発セミナーなどの現場での参考観察、(3)コンピュータを用いた収集データの分析、という三段階の方法を用意した。 今年度の研究の経緯をふりかえって、この方法は概ね順調に実行に移され、上記の研究課題もほぼ達成されたと評価できる。 特に、旅費を用いて実施した、伝統的な祭である“唐津くんち"(佐賀県唐津市)・現代新宗教教団である真如苑青年部弁論大会(大阪府茨木市)・古手の新宗教教団である金光教(岡山県金光町)という毛色の異なる三つの場所への訪問は、地道な文献資料収集とともに、青少年の活動を考え直す上での良い機会を提供してくれた。これらは都市に生きる青少年の大多数の営みとは差異があるが故に、それを鏡として考察することが、課題遂行に大いに役立ったのである。 また、これらの旅先で収集した資料は、他の機会に収集したものと共に、年度の後半に謝金を用いて大がかりな分類・整理を加えた。この資料整理により、課題達成のための分析の基礎作業は既に終了している。 この研究の成果は、一部分は、現在刊行手続き中の書物の中で公表する予定である。ただし、より詳細な分析の全体像に関しては、来年度中を目処に論文として公表すべく現在も一層の分析を進行中である。
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