本研究課題においては、そのテーマの特殊性から、研究資料の発掘、収集が首尾よく進捗するか否かが大きな関門であったが、幸いにも9月にトルコ本国(イスタンブル)で資料探索を行う機会に恵まれたこともあって、今だ論及の対象となっていない多くの貴重な著書、論文入手することができた。当初入手を期待した文献資料のおよそ7〜8割を座右に置き得たことは、大きな喜びとするところである。 資料収集と並行して、夏休み明け頃より、文献の読解、データの整理と批判的検討等、論文執筆のための基礎作業に従事してきたが、その成果から判断する限り、"ズィヤ・ギョカルプのデュルケーム受容"の種々相の解明を相当程度明確かつ詳細に行い得る、との見通しが開けたように思う。フェミニズムの問題等、当初視野の外にあったトピックも浮上してきた。現在、そうした新たな知見を踏まえて、幾篇かの論文について執筆プランを練り直し、アウトラインを確定する作業に入りつつある。とりわけ、以下の論文に関しては、具体的な章・節の組立もほぼ完了し、近々執筆に着手し得る段階にある。 「ズィヤ・ギョカルプのOrf概念について」(仮題) 「トルコ革命・カリスマ的リーダー・デュルケーム」(仮題) 「革命期トルコにおける近代的社会秩序の探究とデュルケーム社会学」(仮題) これらは、脱稿したものから学会誌ならびに勤務校の紀要に遂次発表していく予定である。
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