研究概要 |
本研究は、従来ともすればその理論だけを対象としがちであった。明治期の学校訓育の研究の限界性を越えて、地域の学校で行われていた実際の学校訓育の実践に着目し、とりわけ特色ある独自の実践を行っていた地域やそこの学校の実践を明らかにすることを通して、明治期学校訓育の成立に関する地域実態史の実像に迫ろうとしたものである。 その際、調査対象の仮説設定および具体的な対象地域として、(1)学校訓育実践の「定型」がかなり確定している地域-広島、愛媛、(2)学校訓育実践における「定型」からの「自由」がある程度追求されている地域-長野、福井,(3)その他特色ある学校訓育実践を展開している地域-青森、奈良とした。 今年度の研究成果として、(1)については、広島県の佐伯地区を中心にして、(3)については、奈良県の桜井地区を中心にして、その地域で保管されている地方史料(東京での中央および地方の史料調査を含む)の収集・分析・検討を行い、仮説にもとづくそれらの地域の学校訓育実践の特質を一定程度解明することができた。 今後は、引き続き、(1)(3)の残された地域および(2)について調査を進め、それらの地域の学校訓育実践の特質を明らかにするとともに、その結果の比較分析も行っていく予定である。
|