1.青年期の聴覚障害者の発音に対する意識と発音訓練の希望状況 筑波技術短期大学学生50名の対象に、質問紙及び面接による調査を実施した結果、下記の事項が明らかにされた。 (1)健聴者とのコミュニケーションにおいて、自分から相手への意志伝達の手段として、調査対象者の90%が音声を活用していることが明らかにされた。 (2)対象者のうち発音の矯正を望む者は、全体の7割を占めた。このことから青年期の聴覚障害者に対して発音指導を実施する意義が検証された。 2.年齢に即した発音指導の内容・方法 訓練希望者25名を対象に週1回の発音指導を実施し、各回の訓練状況から、個々の被験者の技能に応じた指導内容、方法、教材について検討した。この結果、特にこの年齢においては、スピーチに結びついた指導内容、方法、教材を精選すべきことが示唆された。 3.実現しうる指導成果と学習者の要求水準との関連 指導の効果を客観的に評価するため、被験者の発声を録音し一般健聴者がこれを聞き取り評定する、発音明瞭度検査を実施した。この結果、単音節で10%〜20%の明瞭度向上が認められたが、学習者が求める日常会話レベルのスピーチ明瞭度を評価する方法を開発する必要性が示唆された。
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