1、史料の調査・収集〜占領期の実験学校に関する日米双方の史料を以下の機関で調査・収集した。そのうち、米側の史料はマイクロフィルムに収められているので、藤女子大学図書館でプリントアウトし、その他の史料は必要部分を複写した。 国立国会図書館憲政史料室・国立教育研究所・愛知県教育センター・愛知県図書館・山形県立図書館・北海道立教育研究所・札幌市立図書館 2、史料の整理・分析〜収集した史料を整理し、下記の点から分析した。 (1)全国的な実験学校の設置状況。特に設置目的と設置主体の類型化について。 (2)実験学校の設置経緯。特にCIEと地方軍政部との関係について。 (3)実験学校に対する軍政部の関与についての事例研究(愛知県と北海道) 3、史料分析より得られた知見 (1)占領期においては全国的に、実験学校が設置された。その目的は、新教育推進のためであったが、特に現職教育が重視された。設置主体は、戦前の経験をいかしてイ)日本側独自で行った場合(数県)、ロ)軍政部の指導により日本側が設置した場合(ほとんどの場合)、ハ)軍政部自体が設置したもの(東海北陸軍政部傘下の各県など)に類型化できる。 (2)実験学校設置計画は、CIEよりも第I軍団軍政部がはじめに行った。その後、CIE教育課のカーレー(現職教育担当)を中心に全国的に広がりを見せた。しかし、その広がりは第I軍団傘下の九州・近畿・東海北陸地方に偏しており、第IX軍団傘下の北海道・東北・関東地方は比較的遅れて設置された。 (3)愛知県では、東海北陸地方軍政部と愛知県軍政部の双方により実験学校が設置された。設置前には、指定校選定のための視察、設置後にも研究状況の視察や実験学校についての講演など、軍政部による関与が多くなされた。北海道では軍政部の強い指導により、道庁学務課により一条中学校が唯一の実験学校として設置された。指定前後には学校視察などが行われ、その後も条件整備などについて軍政部からの多くの関与がなされた。 4、今後の課題〜入手した史料をより詳細に分析し、平成6年度にその一部を論文化する予定である。また最も早く実験学校を設置した近畿地方の史料も今後入手したい。
|