当初の方針通り南方熊楠旧邸書庫の調査を進めたが、備品のパソコンについては田辺市の南方邸保存顕彰会が用意したものを使うことができたので、購入の必要がなかった。八月、九月、十二月に計画通り三度の南方邸への調査旅行を行い、他の研究者の協力の下で蔵書目録を完成した。この目録については、現在、平凡社と出版の計画を進めている。ロンドン抜書については、五十二巻全巻の複写を行い、製本した。しかし、内容調査についてはその膨大な量から詳しく行うことができず、今後の課題として残る。また、調査中書簡数百通、論文原稿数十篇の多くの新資料の発見があり、二月十七日付け讀賣新聞夕刊において紹介された。こうした資料に関しては、UP誌(業績覧参照)で紹介するほか、重要なものの公刊を予定している。
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