1.様々な分野の周辺科学としてしかとらえられず、いまだ独立した学問体系を持たない博物館学について、博物館に関する図書の収集およびその内容検討と分類を通して、博物館学の大要を整え、さらに博物館史や社会における博物館の意義等を考察した。 2.実際に多数の博物館を訪問し展示を見学するとともに、関係者の説明を受け、あわせて討論を行った。 3.日本史史料の取り扱いについて、専門機関の研究員より指導を受け、さらに博物館、史料館、文書館等におけるその展示状況を方法と討論して、今後の理想と可能性を考察した。 4.日本史史料読解の訓練に努めた。特に日本中世の古記録・古文書を集中的に読み、史料解読を習得するとともに、当時の時代背景を把握した。 5.海外の博物館について、管見の限り情報を収集し、また資料の請求および資問状を送付して、その返信を分類・整理した。 6.そのうちスウェーデンの博物館活動に関しては、詳しい資料を取り寄せ特に調査検討して、その研究成果を「スウェーデン初の全国的博物館大型プロジェクト〈スウェーデン史の探求〉-その背景と意義」と題して、所属大学の研究紀要に論文発表した。 7.博物館および博物館学に関する情報のデータ・ベース化に取り組み、収集した資料を入力した。 8.日本の博物館と海外の博物館を比較検討することにより、特に日本における博物館活動の現状と問題点を把握し、今後の課題を提示した。そこでは、日本の文化行政の未熟さ、博物館の未整備、市民意識の低さ等を指摘している。それを研究会において報告し、批判的に検討した上で、博物館に務める学芸員・研究員等を討論した。それらをふまえて、さらに問題点や課題を整理し、次段階への指針としている。
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