平成4年度科研費補助金奨励研究(A)「連用関係の階層構造に関する意味構文論的考察」において、基本的な語順傾向を抽出するともに、変化他動詞文における意味・構文的な階層の存在を提示した。本研究においては、これを受けて、個々の動詞句や個々の副詞句の意味特徴と統語特徴をこの階層上に展開することを試みた。具体的には、データの収集と分析を通じて、特に階層的意味情報の抽出を次の2つの方面から進めた。 一つは、これまで「形容詞移動」や「数量詞移動」といった現象から捉えられてきた連体修飾と連用修飾との意味的相関についての考察である。単純に「移動(遊離)」と解釈し得ないことを指摘するとともに、基本的に階層的意味は関わらない連体修飾の意味構成と、階層的意味を含む連用修飾の意味構成とを比較した。もう一つは、格成分と連用修飾成分との意味的相関についての考察である。従来、連用修飾成分がある格成分と意味的に結びつけられることについて、直接的な統語関係から解釈されることが多かったが、これも、階層的な意味付与から説明される可能性を示した。 なお、接続関係からの考察は、データ収集が不十分であったため次年へ繰り越ざるを得なかった。
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