1.佚文の研究 上田正『切韻逸文の研究』に沿って所拠資料のチェックを行った。必要な場合は原本も参照し、将来の『切韻』祖本再建のための基礎作業を進めたが、今年度中には完了しなかったので、更に継続する予定である。 2.切韻諸本との比較 『切韻』唐代写本のカラーフィルムは既に収集済だが、引き伸ばしのコストが非常に高いのがネックになって利用できずにいた。近年のコンピューター技術の急速な進歩により画像も容易に処理できるようになってきたので、写真焼き付けではなくフォトCDの形で利用することにした。これにより原写本の姿がリアルな形で再現できるだけでなく、諸本の比較や県検索なども手作業でなく機械を使用して柔軟かつ精密に行うことが可能になったので、究極の目標である『切韻』祖本の再建のための根幹部分を据えることができた。 更に『切韻』諸本と佚文を機械可読テキストとして入力し始めたが、時間の制約によりサンプル程度の分量しかできておらず、今後の大規模な研究が必要である。
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