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Charles Dickensの作品群における二項対立と図像研究

研究課題

研究課題/領域番号 05710293
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 英語・英米文学
研究機関大阪市立大学

研究代表者

田中 孝信  大阪市立大学, 文学部, 助教授 (20171770)

研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードHard Times / Charles Dickens / 二項対立 / 中心 / 周縁 / 男性 / 女性 / 父性 / 母性 / 言葉 / ディスコース
研究概要

今年度取り上げたHard TimesではGradgrindが信奉する「システム」や「事実」を中心とした世界と、「生命力」や「空想」を具現化したSlearyの曲馬団という周縁に排除された世界とが二項対立を形成している。だが「中心」は、「周縁」との対立関係の中、その内部において特定の価値コードによる一元化を堅固に成し遂げていると言い切れるのだろうか。拙論「Hard Times論-揺らぐ一元支配-」では、特に中心世界が家父長制社会である点に重要性を見出し、支配層たる男性とその枠内に取り込まれ抑圧された女性との関係が孕む流動性に目を向けた。表面上与えられた地位に甘んじているように見える彼女達の隠された内面を言葉の観点から分析することで、揺るぎなく思えた一元支配が軋轢を抱え込んでいる実態を明らかにするのを主眼としている。その際特に注目すべきは、19世紀西欧において重要な図像である「窓」に佇む女性の姿が作品中頻繁に描き出されている点である。こうした場面では彼女達は父権制ディスコースとは異質な、女性のディスコースと呼ぶべきものさえ作り出しており、意識的にせよ無意識的にせよ、一元支配への反抗姿勢を我々は読み取ることができる。もちろんDickensがヴィクトリア朝中産階級男性である以上女性に対する態度には限界があるのだが、社会が男性的なものだけで成立できず、一元化によって生じた社会悪を軽減するためには女性的なものが必要だと強く訴えている点で、Hard Timesは沈黙を強いられし女性の社会における存在意義に作者が初めて本格的に目と向けた作品となったのである。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 田中孝信: "Hard Times論-揺らぐ一元支配-" 人文研究. 45. 295-308 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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