研究概要 |
本研究では、中世シャンパーニュ方言を様々な言語学的観点より記述しようと試みた、中世シャンパーニュ方言で書かれたと思われる作品を幾つかデータ・ベース化して予備的分析を行ったが、文学作品では方言特徴と考えられる語形が少ないため、結局資料体としては不動産売買証書を集めたDominique CoqのChartes en langue franqaise anterieures a 1271 conservees dans les departements de l'Aube,de la Seine-et-Marne et de l'Yonne,Editions du CNRS,1988.を選んだ。 上記の資料体をデータ・ベース化し、その綴り字に現れた様々な方言的音声特徴を分析した(図書欄参照)。その際にパソコンの画面上に語形の頻度を地点表示できるプログラムを開発した。さらに古フランス語の「態」、とくに代名動詞による「態」の表現を言語的選択の問題として捉え資料体を分析した(雑誌論文欄参照)。 音声的特徴から推論されて方言境界は当時の政治的境界線と深い関係があるのではないか、ということが明らかになった。単年の研究であったため十分な時間的余裕がなかった。今後は種々の音声特徴・形態的特徴・統辞的特徴・語彙的特徴を引続き分析する予定である。
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