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ドン・キホ-テの読まれ方を通して見た小説における時間の捉え方の歴史的変遷

研究課題

研究課題/領域番号 05710302
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 その他外国語・外国文学
研究機関東京大学

研究代表者

斎藤 文子 (1994)  東京大学, 教養学部, 助教授 (20240731)

齊藤 文子 (1993)  東京大学, 教養, 講師

研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードドン・キホ-テ / セルバンテス / 小説の時間 / ラテンアメリカ文学
研究概要

17世紀初頭に書かれた小説の中の混乱にみちた時間を後世の読者がどう解釈しているかを探ることは、小説の中の時間に対する認識の時代による変化、ひいては人々の一般的な時間認識の変化をも知る手がかりとなる,こ前提にたち、西洋近代小説の始まりと位置づけられるセルバンテスの『ドン・キホ-テ』に流れる時間に対する評価を跡づけるのが、本研究の第一の目的であった。小説の時間操作という問題に関心の低かった時代については、『ドン・キホ-テ』の注釈者たちのテキスト解釈が第一資料となり、18世紀半ばに初めて出版された解説付きテキストから始まって、各時代の主要な注釈本を比較検討することを行なった。その結果、18世紀合理主義時代には、小説の時間的曖昧さや矛盾をセルバンテスの不注意に帰し、ロマン主義時代には、詩的時間と現実の時間を区別することで解釈しようとする傾向が読み取れた。一方、中世、近代の人々の世界観に関する研究が進んだ現在では、小説の時間そのものの捉え方の違いを問題にするようになっている。つまり、小説を統合する諸要素の中に、直線的時間軸という要素は含まれていなかったと考えるのである。
逆に言えば、現代小説の特徴の一つは、時間操作を小説を書くテクニックと考えるようになったということである。こうした17世紀以来の小説の時間認識の歴史的変遷の中で、直線的時間進行の排除、永遠に続く現在という『ドン・キホ-テ』的時間認識が、西欧社会とは異なる独自の世界観の伝統を持つラテンアメリカの現代文学において、新たな意味を持って復活しているのが注目される。さらに、直線的時間を男性原理に基づくものとし、女性には違う時間の捉え方があるとする、フェミニスト批評の主張にも発展している。

報告書

(1件)
  • 1994 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 斎藤 文子: "女主人とメイドの関係の力学 -ボニアトブスカの「ラブ・ストーリー」をめじって" 東京大学教養学部外国語科研究紀要. 41巻4号. 1-19 (1993)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 斎藤 文子: "セルバンテスの機知" 東京大学教養学部報. 382号. 3-3 (1994)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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