1.ボツワナでの実地調査によって採集したグイクエ=ブッシュマンの言語(グイ語)の記述資料(フィールドノート)を音韻分析した。その結果、この言語の音素目録、および語彙的語根ならびに機能語の音素配列、声調の体系、さらに主な動詞形態音韻論的現象を明らかにした。 2.上記の分析に基づき、この言語の約2500項目の基礎語彙についての情報をカード型データベースに入力した。 (1)表記法は音素表記を原則とする簡略音声表記を用いた。 (2)表記のための特殊記号を含むグイ語専用フォントを一組作成した。 (3)様々な音韻的条件からの検索を可能とするソ-トフィールドを、音素配列分析、声調分析の結果をもとに作成した。 (4)語彙の形態論的、意味論的および民族学的な情報を入力した。(意味的・民族学的情報の入力に先立ち調査地を同じくする人類学者との意見交換、情報交換をおこなった。) 3.録音資料(アナログテープ及びDATによる記録)を編集し、その一部を音響分析した。さらにこの音響資料をカード型データベースに画像データとして入力した。(ただしこの作業は現在も進行中である。) 4.調音器官の図版(上顎と舌の断面図)を作成し、画像ファイルとして入力した。 5.言語調査がまだ初期段階である現時点では、資料が非常に流動的であるため、枠組みを変更しやすいカード型データベースを用いているが、録音、画像、文字という異質な資料を統合的に扱うには、リレーショナルデータベースのほうが好都合である。将来的にはリレーショナルデータベースに移行する予定である。また、現在用いているパソコンの処理能力では検索に時間がかかり過ぎる。データベースの公開には高速マシンが必要である。
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