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メスメリズムの変遷と独仏英文学におけるその影響と取り上げられ方

研究課題

研究課題/領域番号 05710317
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
研究機関名古屋大学

研究代表者

西川 智之  名古屋大学, 言語文化部, 助教授 (20218134)

研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードメスメリズム
研究概要

ダンテ『神曲』、ミルトン『失楽園』、ゲーテ『ファウスト』。この三作品を比べれば、メスメリズムの背景にある宇宙論の変遷が見て取れる。『神曲』では月より上の天上界と月より下の地上界、そしてさらにその下に広がる地獄という、アリストテレス以来の宇宙観が物語の構図になっている。『失楽園』でも地獄-地球-天国というキリスト教的宇宙地図が物語の舞台となるが、地動説はキリスト教教義を揺るがす謬見とは見なされていない。そして『ファウスト』になると、天国-地球-地獄の宇宙での位置はもはや問題にされず、その位置関係は抽象的なレベルへ移行している。このように、科学の世界での神と宇宙の切り離し、唯物論的自然観は、文学作品にも浸透していくのであり、メスメリズムもこうした科学の流れの中から生まれた。しかし文学へのメスメリズムの影響ということになると、それとは正反対の方向をたどる。つまり、神・自然・人間は一体であるという、ロマン主義的世界観を表すものとしてメスメリズムは受けとられたのである。各国とも、フランス革命後のナポレオン戦争などによる荒廃、政治的混乱から生まれた啓蒙主義への幻滅がその背景になっていると思われるが、ドイツでは、19世紀初頭のホフマン、アルニム、クライスト、シェリングらのロマン主義の文学・哲学にその影響が限られるのに対し、英仏米では、ドイツと比べれば間接的なものであるとはいえ、ディケンズ、バルザック、ゴ-チェ、ポ-など1950年代までその影響は続き、降霊術のブームにつながっていく。英米仏のこうした傾向が、進展する産業革命の中で急速に変化していく社会とどういう関係にあるのかを、今後の研究課題の一つとしてみたい。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書

URL: 

公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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