研究概要 |
本年度は、地方行政機構の構築とその経済政策能力の評価を旧東独から他のソ連東欧諸国へ拡張することを課題としたが、それらについての資料を体系的に収集することは困難であった。その理由としては、旧ソ連東欧諸国では中央・地方行政機構がなおも形成途上であるという要因が大きい。そこで、次の2つの展開方向を考えた。 (1)とりあえず旧東独行政機構構築の問題を人的資源形成を中心に整理し、他のソ連東欧諸国については、旧東独との一般的比較にとどめる。この研究成果として、論文『体制転換における人的資源不足問題-旧東独での行政機構構築を例に-』を準備中である。その他の旧ソ連東欧諸国についての本格的研究は他日の現地調査の機会等を期すこととした。なお具体的には、偶然交流の機会を得たカザフ経営アカデミー(旧カザフ経済大学)のスタッフと共同で、行政機構改革、金融制度改革、中小企業育成問題を、a.政策当局者がマクロ政策の背後にいかなる理論的理解をもっているかということと、b.人的資源不足問題との2点を軸に調査することを企画中である。 (2)行政機構については資料収集が困難であることがわかったため、現在関心を集めており、資料入手が容易な金融部門における制度構築問題、人的資源不足問題に研究の重心を移し、すでに相当の資料を蓄積した。この問題のとりまとめのため、本学部スタッフとの共同研究『南米,中国,旧ソ連東欧の経済改革における金融制度改革の比較研究』に科研費による助成を受けるべく94年度科研費一般Cに応募している。
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