流通の効率性指標(売上高販管費率、従業員あたり売上高など)を被説明変数とし、食品・衣料といった売上構成の違い、チェーンの売上規模、賃金や地代家賃といった要素価格、そして償却済資本の比率といった店舗の古さ・出店への消極性を示す変数を右辺にとって、OLSによる説明を試みた。 食料品の比率が高いと店舗面積生産性は高く、労働生産性は低い。衣料品はこれと逆に影響する。この結果は食料品小売業と衣服小売業を商業統計などで比べた結果とおおむね一致する。 チェーン規模の効果は非常に不明確である。有価証券報告書を詳細に読むと、小規模のチェーンでも百貨店でよく知られる済化仕入を行って、テナントから歩合制家賃をとっているケースがあることがわかる。これにより、特に従業員あたり売上高が押し上げられてしまう。 これとは別に、全国スーパー、埼玉が本拠の中小スーパー、東京が本拠の中小スーパーがそれぞれ埼玉県下に持つ支店の労働生産性、店舗面積生産性について分析した。個店の規模はほとんど説明力がないこと、埼玉の中小スーパーは他の2類型に比べ(チェーン規模の影響を除くと)各指標が高いことがわかった。中小チェーンは地元では生産性が高いとすると、チェーン規模の効果が不明確であることの部分的説明ともなろう。
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