日本における各目的のための貯蓄の家計貯蓄全体に占める割合の再推計を行ない、その結果老後、住宅・土地購入、子供の結婚資金、子供の教育費の順となっていることが分かった。これらの目的のための貯蓄はそれぞれ平均して家計貯蓄全体の約25、18、2、1パーセントを占めているという結果となっている。したがって、これらの目的のための貯蓄は合わせて家計貯蓄全体の46パーセントにも及び、家計貯蓄全体の半分近くを占めていることになる。これらの目的はライフ・サイクル関係の目的であり、ライフ・サイクル仮説が日本においてかなりの程度成り立っているかのように見えるが、老後目的以外の目的は多かれ少なかれ世代間の移転の側面をも含んでいることを念頭に置いておかなければならない。残された課題として、病気・不時の災害、余暇・旅行、耐久消費財の購入、遺産を初め、上記4目的以外の目的のための貯蓄額の推計、各目的のための貯蓄の将来予測、目的別の貯蓄の国際比較などがあり、今後もこの関連の研究を続ける予定である。
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