研究概要 |
多国籍企業のグローバル市場参入戦略を理論的サーベイすることを第1の研究目的とした成果を『商学論究』に掲載した。その論文では、国際市場またはグローバル市場(本国市場をも含む)に参入する手段として、なぜ多国籍企業が完全所有方式の単独直接投資を選択するのか、そして単独進出ではなくて合弁事業などの国際戦略提携を選択するのはなぜかを理論的かつ実証分析結果を応用しながら解明した。 一方、国際戦略提携活動が機能的に多く用いられているソーシング戦略の領域においても単独形式の企業内国際分業の選択決定因と戦略提携型の企業間国際分業の選択決定因を明らかにし、その成果を竹田志郎編著『国際経営論』に掲載した。 他方、一昨年夏に中国で開催されたAcademy of International Business,the third World Congressで報告した欧文ペーパーを修正して、関西学院大学の欧文紀要に投稿した。この論文では、現代の国際マーケティング戦略における価格戦略の役割が、グローバル市場参入戦略の変化、すなわち単独進出型の誘因となるトランスファープライシングから、戦略提携型で多用される交渉価格設定に変遷していくことに連動して戦略的次元を強く示すようになってきたことを力説している。 研究課題のタイトルに示されるようなM&Aの選択については、過去の成果をより発展させる段階に迄到達できなかった。この点については引き続き今後の課題としたい。 最後に、日中合弁事業に関するアンケート調査を′93年9月に実施し、その回収結果(計58社)をコンピューターを用いて′94年3月に分析した。いずれ国際戦略提携に発展すると予想されるので、今後も注視したい。
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