従来より、生産計画、資産運用といった経営上の問題解決支援のために、計算機を用いた経営情報システムの研究、開発が試みられてきた。しかし、現在のところ、実際の経営問題においては、数理モデル等による問題のモデルがあらかじめ用意されたシステムをユーザが操作するという状況でしか、この種のシステムは利用されていない。 本研究では、ユーザが意思決定支援システム(DSS)上で行なう作業は、問題を表現するモデルを修正しながら、より満足のいくモデルを構築することであり、このプロセスを通じて、問題に対する理解を深めることであるという観点に立つ。この観点に立てば、DSSにおいてはモデル操作の支援等を行なうモデル管理が重要な位置を占める。 本研究ではまず、ワークステーションで現在駆動中のプロトタイプDSS上で、既存のモデル資産を有効に利用するため、他言語で記述されたモデルを実行するためのインターフェースを設計、実現した。これにより、現有のさまざまな数理モデルがプロトタイプDSS上のモデル管理システムから実行できるようになった。応用問題として、Fortranにより記述されたモデルを組み込んだ輸送問題支援システムを作成した。 また、これまで静的なモデルしか扱えなかったモデル管理システムを、時系列データを扱う動的なモデルを扱えるものに拡張した。この応用として金利の時系列データを取り扱うALM(Asset Liability Management)システムのプロトタイプを作成した。 今回作成したモデル管理システムは、構造化モデリングのアプローチに基づいたモデル構築を可能にしており、モデルの構造や、各サブモデルの入出力関係、働きがユーザーにとって理解しやすいものとなっている。また、リスク分析やゴールシーク分析等のさまざまな分析ツールを容易に組み込むことができるという利点を有している。
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