日本の自動車部品産業は、従来、自動車アッセンブリー・メーカーに対してヒエラルキー型ないしは、疑似ツリー型の企業間取引関係を結んでいるものと理解されてきた。本研究では、自動車部品産業の一例としてラジエタ-産業を選定し、その部品取引関係の実態をインタビュー調査によって明らかにすることを試みた。 調査対象は、日産自動車(株)、カルソニック(株)、北芝電機(株)についてであるが、すでに、前2社については本年度科学研究費補助金支給以前にインタビュー調査を終えており、本年度は、北芝電機(株)の東京営業所訪問インタビューおよび福島県松川町にある本社工場訪問インタビューを行った。 ラジエタ-産業として上記3社の部品取引構造を概観すると、以下のごとくである。まず、日産自動車にとってラジエタ-の納入メーカーには(株)日立製作所、(株)ゼクセル、カルソニックがある。そのなかのカルソニックからみると、ラジエタ-について日産自動車に約75%、富士重工業(株)に約12.5%、三菱自動車工業(株)に約12.5%の比率で部品を納入している。カルソニックに直流モーターを納入している北芝電機は、カルソニックとデザイン・インおよび技術援助契約を結び、直流モーターについては100%カルソニックに納入している。ただし、カルソニックを通じて、年間約1%弱がGMに販売されている。北芝電機にとって、直流モーターは売上総額の30%程度を占めており、それ以外に変圧器、配電盤、電熱装置、熱交換機、原子力関連設備などを生産し、主として(株)東芝に納入している。
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