研究概要 |
本研究では,フランスの会計技術協力を大蔵省・国家会計審議会および仏語圏会計士連盟の活動にもとづいて考察・整理した。研究実施計画に記載したように,本年度は,(1)会計標準化推進活動,(2)会計技術協力の成果と活動,(3)会計技術協力の課題の3つに区分して研究をすすめたが,研究の力点を主として(1)および(2)に置き,(3)については「会計技術移転」の視点から再考する予定である。 本研究によって次のことが明確にされた。大蔵省の会計標準化活動は,プラン・コンタブルの作成と関連法令および,場合によってはプラン・コンタブルの適用を承認させるための議会への法案の作成も含まれる。プラン・コンタブルの作成と前後して被援助国省庁,会計専門機関とのミッションの派遣・受入,共同委員会,セミナーを実施してプランの作成・適用を円滑に進めるための作業を行っている。仏語圏会計士連盟の活動は会計標準化の進展度合いによって異なる。マグレブ諸国では,同連盟加盟国の経済発展における会計の役割について連盟加盟国間の情報交換を促すため会合がもたれており,またフランスの協力を得て,監査実務に関するセミナーが頻繁に教育機関で行われている。他の諸国は会計標準化推進過程にあり,会議の開催はされていない。 会計技術協力は会計領域での技術援助であり,フランスが被援助国の社会制度・行政制度を同質化させようとする対途上国政策の一貫とみられる。しかし途上国への技術援助のノウハウの蓄積は,今後わが国が当該領域での協力を実行する際に参考となろう。
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