研究概要 |
本年は、2字元「星型」特異点解消をもつクラスのL^2-plurigenusについての比較不等式と、2字元2重点のミルナ-数muと幾何種数p_gについて次の結論を得た。 1。(V,p)を2次元"star-shaped"resolutionを持つ特異点,psi:(X,A)→(V,p)を"star-shaped"特異点解消とする。central curve Eにおける消滅位数によって局所環Ov,_pに標準的な(巡回特異点をのぞいて)idealによるdecreasing filtration F={F^k}with F^k=psi_*(Ox(-kE))が定まる。Fのassociated graded ringの正規化は、例外集合Aのdual graphよりPinkham-Demazureの方法で定まる次数付き特異点Spec(R(E,D))となる(泊-渡辺)。両者のL^2-plurigenus{delta_m}には、delta_m(V,p)【less than or equal】delta_m(Spec(R(E,D)))(^∀m【greater than or equal】1)なる関係がある事が指摘されていた(渡辺公夫)が、ここでは完全な証明を与えると同時に、その誤差項をlocal cohomologyに関連する量で記述した。特に、(V,p)がGorensteinである場合には、誤差項がmに依らない事を示した。chk=0の場合に、Gorenstein"star-shaped"singularityが、次数付きなものとequi-singularであろうという予想については、p_gのみの誤差が本質的である事を示すものであり、ひとつの前提である。chk>0についてはGorensteinであっても誤差が生ずる例は泊-日高によって構成されている。また、高次元の場合には同様の比較不等式はまだ知られていない。 2。2重点のミルナ-数muと幾何種数p_gの関係式については,8p_g+1【less than or equal】muをしめした方法を押しすすめて、更にp_a=1(Wagreichの意味で楕円型)の場合に12p_g-3【less than or equal】muであることを示した。これは、S.S-T.Yau-Xuの結果の別証明になっている。我々の議論でのkeyは、特異点解消過程のbranch locusにあらわれるevencurveの個数の制限が、解消過程を非常に制限するということである。
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