研究概要 |
generalized Kac-Moody algebra(=GKM algebra)はCambridge大学のR.Borcherdsにより近年、数理物理学との関連から導入された概念であり、Kac-Moodyリー環の自然な一般化となっている。 今、g (ALPHA)を、対称化可能なGGCMと呼ばれる行列Aに付随するGKM algebra、etaをそのCartan部分環、W⊂GL(eta*)を対応するWeyl群とする。私は、優整形式LAMBDA∈eta*とomega∈Wに対して、omega(LAMBDA+rho)-rhoを最高ウエイトとするg(A)上の既約最高ウエイト表現L(omega(LAMBDA+rho)-rho)の指標を、Kazhdan-Lusztig多項式と呼ばれる、Hecke環の基底の変換の際に現れるある整数係数の多項式を用いて記述する事に(行列Aについての弱い条件の下で)成功した。(ここでrho∈eta*は、g(A)が有限次元半単純リー環の場合には全ての正ルートの和の1/2倍にあたるものである。) これは、g(A)が有限次元半単純リー環の場合にD.KazhdanとG.Lustigにより、そして対称化可能なKac-Moodyリー環の場合にはV.Deodhar,O.Gabber,V.Kacにより提出され、どちらの場合も京都大学数理解析研究所の柏原正樹教授等により解決された結果(Kazhdan-Lusztig予想)の一般化とみなせる。 上記の私の結果は、2つの論文"Kazhdan-Lusztig multiplicity formula for general-ized Kac-Moody algebras,I:Towards the conjecture"、"Kazhdan-Lusztig multi-plicity formula for generalized Kac-Moody algebras,II:Proof of the conjecture"としてまとめられ、共に現在投稿中である。さらにこれらの論文の要約が、論文"Kazhdan-Lusztig-type multiplicity formula for symmetrizable generalized Kac-Moody algebras"として投稿中である。
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