研究概要 |
二次元の可解格子模型の相関関数に関して、次のような一般的な性質を発見した。すなわち、6頂点模型を含む一連の頂点模型、面模型であるRSOS模型、辺模型であるKashiwara-Miwa模型、Chiral-Potts模型のn点相関関数はI.Frenkel-N.Reshetikhin及びF.Smirnovによって発見されたqdeformed及びdeformed Knizhnik-Zamolodchikov(q-KZ,dKZ)方程式の自然な拡張と思われる差分方程式を満たす。6頂点模型を含む、Affine量子群の表現に対応する模型に関しては、上記の事実は相関関数がq-頂点作用素のトレースとして記述出きる事から従うことはすでに我々が発見していた事である。今回の結果のポイントは、量子群の表現に必ずしも対応しない模型に関してもその相関関数が差分方程式を満たすことを示した点にある。我々は、この結果を導く過程で、各模型に頂点作用素を導入し相関関数はこの頂点作用素の、角転送行列の固有空間上でのトレースとして表される事を示した。従って今後の大きな課題として適当な代数を発見して、頂点作用素を、その代数の表現の間のintertwining作用素として実現できるかどうかという事がある。6頂点模型の相関関数に関しては次ぎのような結果を得た。この模型のn点相関関数の積分表示を我々は既に導いている。この積分はレベル4のq-KZ方程式を満足する。これは既に述べたようにq-頂点作用素のトレースとしての記述から従う。積分がq-KZ方程式を満足する仕組を直接(表現論を経由しないで)明らかにすることは、他の模型の相関関数の積分表示を導く上でも役に立つと期待される。その仕組を明らかにしたのが結果である。これによりレベル4のdKZ方程式の解でXXX模型の相関関数の積分表示に類似の積分で表されるものの族を求めることが出来た。ここで重要なことは、Riemann面上の微分の留数のあアナロジーを差分系に対して導入し積分を一回自明に実行できる点にある。
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