標数2の有限体上のベクトル空間上の二次形式全体の集合を距離正則グラフとみなしたときの全自己同型群を決定した。このとき、過去に知られていた自己同型群よりも実際の自己同型群の方が大きいことが判明した。従って全自己同型群の階数が偶数のとき、Witt indexが2種類でてくるが、この2種類はグラフの自己同型群では判定できないということがわかった。また、知られているP-and Q-polynomial association schemeの中で凸部分グラフの分類ができていない唯一の例が標数2の有限体上の2次形式のグラフであるが、この問題も完全に解決した。この結果は、自己同型群の決定と密接に関わりりあっている。自己同型群の決定の鍵となったのは、交代形式のグラフが二次形式のグラフの部分グラフとして含まれないという事実である。このことは二次形式のグラフの自己同型群の一点の安定部分群の決定を可能にしたばかりでなく、次元の小さい交代形式のグラフも二次形式のグラフの部分グラフでないことの証明の第一段階となった。
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