研究概要 |
完備でR^2に同相なリーマン多様体をリーマン平面と呼ぶ。リーマン平面の全曲率はCohn-Vossenの定理により2pi以下であることが知られている。以前の研究において、リーマン平面内の極大測地線の振舞いについて全曲率が2piより小さい場合に調べた。ここで極大測地線とはR上で定義された一点でない測地線である。今年度の研究では全曲率が丁度2piのとき、および境界を持つ2次元リーマン多様体の測地線の振舞いについて結果を得た。この研究において理想境界の概念は非常に重要である。具体的には次を証明した。全曲率が2piのリーマン平面をMとするとき、任意の数nに対して、Mのあるコンパクト集合K_nが存在し、K_nの外側にある任意のMのproperな極大測地線に回転数がn以上の部分弧が存在する。ここで測地線がproperとはRからMへの写像としてproperということであり、回転数とはwhitneyが定義した位相的な回転数である。さらに、Mの全ての閉測地線がある一つのコンパクト集合に含まれるような全曲率をもつリーマン平面の極大測地線の振舞いについて調べた。このようなMはexpanding,contractingと呼ばれる2つのクラスに分類される。Mがcontractingのとき、Mのある十分大きなコンパクト集合の外側には極大測地線は存在しない。一方Mがexpandingのとき、そのような極大測地線は必ず存在し、その位相的な形は決定される。
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