上記研究課題に関し今年度次のような結果を得た。 まずn+1-次元unimodular群SL_<n+1>Rのn-次元球面S^nへの標準的な作用を考える。さらにSL_<n+1>Rのいわゆる一様格子GAMMAをとり、unimodular群の作用をこの格子に制限することにより、離散群GAMMAのn-次元球面への標準的な作用A^oが得られる。このとき 定理.n(]SY.qotreq.(〕2ならばこの作用A^oは剛性的である:すなわち、Aを群GAMMAの球面S^nへの微分可能的な作用で、しかも適当なtopologyに関しAは標準的作用A^oに十分近いとすると、作用Aは標準的作用A^oに滑らかに共役である。 より直感的に言うならば、n(]SY.qotreq.(〕2の場合、群GAMMAの標準的作用A^oはそれを少々摂動させるだけでは本質的に変わり得ないことを、定理は主張している。 証明の概略は次の通り。まず幾何学的な考察を行なうことにより、定理の証明をある線形的な問題に帰着させる。(そもそもの問題は非線形であるから、これは一種の「変数変換」と考えることが出来よう。)次いで、この線形問題をある仮定の下、確立微分方程式を用い解く。そして最後に、unimodular群に対する初等的な表現論を利用して、その条件が実際に満たされていることを確認する。
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