研究概要 |
当該年度は結び目のデーン手術について研究した。結び目のデーン手術は3次元多様体を作り出す有効な手段である。例えば近年、GordonとLuecteにより、手術の結果いつ3次元球面がえられるか完全に決定された。また、結び目が衛星型(結び目の外部に非圧縮トーラスがとれる)のときは、手術していつレンズ空間という3次元多様体が得られるか決定されている。(Wu,Bleiler-Litherland)。そこで、ザイフェルト多様体という、レンズ空間を含む重要なクラスに注目し、衛星型結び目のデーン手術でいつザイフェルト多様体が得られるか考えた。茂手木公彦氏(日大・文理)との協同研究により次の結果を得ることができた。 衛星型結び目Kのデーン手術でザイフェルト多様体が得られたなら、 (1)可能な手術係数は高々4通りで、すべて整数値に対応している。 (2)このようなKとして、今まではケーブル結び目や、トーラス結び目の連結和しか知られていなかったが、それ以外の新しいタイプの結び目を見いだした。 証明の要点は、結び目Kを手術してザイフェルトになるなら、Kを変形してできる或る結び目を手術すると連結和多様体ができることを示すところにある。手術の結果いつ連結和になるかについて知られていることを使えば上のような結果がえられる。
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