1.平均曲率流方程式の研究。 平均曲率流の方法を毛細管方程式に適用して、解の存在定理の簡単な別証明を得た。平均曲率流方程式は、幾何学の動機づけにより研究されることが多かったが、それが、毛細管方程式に対する汎関数の勾配流として自然に拡張できることより今回の研究となった。今のところ軸対称な領域の場合のみに結果を得ているが、一般の領域に対しても拡張できるかどうかは、さらに考察中である。方法はa priori estimateを上手く行うことにあり、特に計算機の助けは必要としなかった。 2.慣性多様体の存在証明 Burgersのもとの乱流の簡略化方程式に対する慣性多様体の存在証明を得た。慣性多様体とは、散逸糸方程式系の長時間後の解のふるまいを統一的にとらえようとする努力の中から生まれた概念である。多様体の存在が証明されれば、解の長時間後のふるまいは、多様体上の常微分方程式系により完全に記述されることになる。今回の方程式における困難は、それが低階微分項を含むということにあった。存在証明は、固有値の間隔の広さを必要とするため、低階微分項は悪影響を与えるのである。新たに項を導入するという技巧を用いてこの困難を回避した。糸はReynolds numberの概念がある。多様体の次元と、このReynolds numberとの関係を調べたが、まだ改善すべき点は多い。
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