研究概要 |
当該年度は、放物型ポテンシャル論の中でも、特に、ユークリッド空間上の熱方程式に関するマルチン境界に重点をおいて研究した。境界が比較的きれいな有界領域では、熱方程式に関してKemperは、マルチン境界が、位相的境界と一致していることを示した。そこで我々は、非有界領域の無限遠点におけるマルチン境界に興味をもった。大阪数学雑誌に発表した論文では、空間1次元の場合、{(x,t);t>psi(x)}の形の領域において、psiが、下に有界であれば、無限遠点に対応する熱方程式のミニマルな正値解が存在しないことを示した。次に、領域が時間座標に関して下に有界でない場合を考察した。Dをn次元ユークリッド空間上の有界リプシッツ領域とし、領域{(x,t);x∈psi(x)D}を考え、psiの-∞でのオーダーと、マルチン境界との関係を調べた。psi(t)のオーダーが、(-t)^<1/2>より小さい時には、発散型の放物型方程式に対し、無限遠点にはマルチン境界の一点が対応することがわかり、名古屋数学雑誌に発表した。一方psi(t)のオーダーが、-tより大きい時は、無限遠点でのマルチン境界は連続体の濃度になるので、1/2から1までの間が問題であった。これに関し、空間1次元の場合は、熱方程式に関しての調和測度の境界の線素に関する密度が連続であることを示して、やはり一点であることを示し、この結果は、ポテンシャルアナリシスに発表予定である。空間次元が一般の場合は、名古屋大学の鈴木紀明氏との共同研究の結果解決し、大阪数学雑誌に発表予定である。また、最近alpha次放物型方程式に対して、正則境界の、リ-ス容量による特徴付けが得られ、名古屋数学雑誌に投稿中である。
|