適当な外力が印加されたとき、固体の集合体(砂、地盤)は複雑な振る舞いを示す。ある条件下では、全体として、コヒーレントな運動を行う(砂丘の高速移動など)一方、別の条件下では各要素が、バラバラに振る舞うように見える(流砂現象、地盤液状化)。これらの複雑な振る舞いは、おもに系の離散性、非一様性に由来し従来の理論解析法では把握が困難であり、その規模の大きさ、および適当なスケール変換規則が未知であるゆえ、実験的な制御も難しい。 今回の研究では、最近の非線形動力学の進展の中で得られつつある、新しい知見と手法(など)を運用して、このような複雑な系の動的過程、とくに砂地形のダイナミクスを明らかにしてきた。具体的には申請者らが現在まで、改良を進めてきた連結写像格子法と呼ばれる非常に効率の良い数値模型を使って、砂のダイナミクスを再現することで、風紋や砂丘の形成機構、移動形態、を詳細に調べてきた。また線形解析、を実行し、系の複雑な時間発展が、その非一様性や、非線形性といかに連動しているのかを明らかにし、次ページに記載した論文として発表した。
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