本年度は離散要素法を用いて粉体振動層の数値的な研究を行なった。粉体振動層は直径1ミリ程度のガラス玉を適当な容器に入れ、重力下で鉛直方向の振動を加えて、粉体を流動化させるものである。側壁がある場合には側壁との摩擦の効果により対流運動が生じ、また、表面流動化現象が生じることが実験的に知られている。 本年度は特に側壁の影響がなく、実験的には研究の難しい周期的境界条件の場合について調べた。この場合、対流が乱流的になることは既に数値的に示唆されていたが、今回は特に、空間パワースペクトルを計算することにより、そのパワーが空間波数に対してベキ的に振舞い、指数が流体乱流のコルモゴロフ理論による指数-5/3に非常に近いことを報告した。 更に、未発表ながら、乱流中の速度場の分布関数がガウス-非ガウス転移を起こすことも見い出した。これは流体における熱対流乱流においてソフト/ハード乱流転移として知られているものである。この結果、粉体振動層は様々な意味で流体乱流に近い挙動を持つ、新しいタイプの乱流であることが確認された。
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