研究概要 |
本研究では、従来のELF,ULF-MT法に、本研究者によって新たに開発されたネットワークMT法の概念を導入した観測のための測定装置の開発を行なった。従来の観測では、電場磁場それぞれ水平2成分のみの観測を行ない、順次観測点を移動して地域の地下電気伝導度分布を求めてきた。本研究では、その従来の観測に加えて電場を6チャンネルで測定する装置を開発した。開発した装置は、現有のMT法観測装置に接続して用い、サンプリングタイミングは、現有の装置に同期させるようにした。1,024Hzから4秒毎迄のサンプリングが可能であり、サンプリングレートに応じたアンチエリアジングフィルター、AC電源帯域のノッチフィルターを装備した。16ビットでAD変換を行ない、データは直接3.5インチフロッピディスクに記録するようにした。電源は、12Vの自動車用バッテリ-を用いる。 本装置を用いることによって、磁場2成分の測定点を中心として8電極点(約200m四方)で取り囲む領域のデータを1回の観測で得ることが出来る。観測域を移動する際は、ネットワークMT法の考えを取り入れ、電極点のいずれか数点(最低1点で良い)を前の観測点に重ねていく。こうすると全ての電極点が有機的に接続し、地域の3次元性を見積るのに必要な面的な電場磁場変動分布が非常に効率的に得られる。本装置の完成の後、八ヶ岳地磁気観測所において、動作確認、データのテスト的な取得を行なった。今後、本装置を用いた観測を火山体や断層帯で行なうことによって、3次元性を考慮した地下電気伝導度微細構造が決定されていくものと期待される。
|