研究概要 |
国際深海計画(ODP)第144次航海で西太平洋の5つの海山(ギョ-)で掘削が行われた。船上での古地磁気測定の結果をより確かなものにするために、陸上ではスピナ-磁力計を用いて測定を行った。その際の消磁方法として交流消磁・熱消磁を用いた。 陸上での火成岩の交流消磁による測定結果は船上での測定結果と矛盾しないものであった。しかし、それぞれのサイトで伏角が幾分浅くなる傾向が見られた。そのため、伏角から求められる古緯度の結果も船上の測定結果だけのものより僅かながら低い結果が得られた。Hole878A(MITギョ-)の基盤に相当する火成岩の上部の伏角は負の値を示し、南半球の正帯磁と考えられるが、下部では伏角が正の値を示し逆帯磁と考えられる。火成岩の放射性年代から、この火成岩は白亜紀の磁気静穏期以前(約122Ma)であることが判明しているので、この逆帯磁は白亜期前期の地磁気の逆転期(M1)に相当すると考えられる。また、Wodejebatoギョ-の逆帯磁は岩石の放射年代からC33Rに相当すると考えられる。 熱消磁による測定によって得られ測定結果は交流消磁による測定結果を追認するものであった。Site871(Limalokギョ-)の10個の試料を熱消磁した。そのうち3つの試料は570℃付近まで熱消磁をおこなっても安定な磁化方位を得られた。しかし、それ以外の試料は350℃あるいは400℃以上になると磁化方位が安定しなくなる。このような試料の帯磁率が400℃付近で大きく変化した。 全測定結果から、それぞれの海山の古緯度を得ることができた。Lo-Enギョ-,Wodejebatoギョ-,MITギョ-、拓洋第二海山の古緯度は南緯10度付近である。Lo-Enギョ-の古緯度は南緯30度付近である。これらの結果は、現在提唱されている太平洋プレートの絶対運動のモデルと矛盾しない結果であった。
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