地球磁場成因の解明に向けて、地磁気データを用いて、地球核内部流体運動の推定を行った。ポロイダル速度場の動径方向依存性を与え、磁場の誘導方程式およびナヴィエ-ストークス方程式を連立して解いた。これまでは、磁場の境界条件として、核表面における磁場の強度分布のみを与え、その時間変化は非常に小さいと仮定してきた。本研究では、地磁気永年変化も計算に取り入れた。ただし、速度場はこれまで同様、定常であると仮定した。そのため、誘導方程式から得られる、磁場の時間変化の変化(時間について2階微分)の式も解くべき方程式に加えた。 数値計算の結果得られた流体運動において、凍結磁場近似に基づいて得られている核表面付近の流れとの共通点が見つかった。本研究では、核全体が対流していると仮定したにもかかわらず、このような結果が得られたことから、凍結磁場近似に基づいて得られるような流体運動は、核内部の流れの現われであると考えられる。また、核の外には現れない、つまり地表では観測できないトロイダル磁場の強度は5×10^<-3>T程度となるという結果が得られた。このことは、地磁気ダイナモのメカニズムは、強いトロイダル磁場を作るalphaomega型ではないことを示唆している。 今後は、与えられているポロイダル速度場の動径方向依存性を変えて、その影響を調べていく必要がある。学会誌へは、現在、投稿準備中である。また、本研究の結果は、今年8月、カナダのウィッスラ-マウンテンで開かれるSEDI(Study of the Earth's Deep Interior)シンポジウムで発表する予定である。
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